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NHK時計

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2007年2月28日 (水)

カノッサの屈辱2007

 お読みの方々は「カノッサの屈辱」をご存知でしょうか。1990年頃、化粧品、ビール、アイスクリーム等の生活風俗の歴史を、日本史や世界史の講座番組のパクリの形に作り上げた、爆笑バラエティ番組です。

 企画していたホイチョイプロダクションが、映画「バブルへGO!」を制作したのにちなんで、このたび「カノッサの屈辱」がめでたく一晩限りの復活を遂げました。フジテレビでは2月5日(月)深夜(6日未明)に放送されましたが、こちらの東海テレビでは26日(月)深夜(27日未明)にやっと放送されました。この間、関西テレビ「あるある大事典」事件は大きくなるばかりで、同じ日本テレワークの作品だけに打ち切りにならないか心配してました。いやー、待ちました。

 録画して視聴したのですが、冒頭に「恩師・仲谷昇教授に捧ぐ」というブラックバックの字幕が出た(前任の俳優・仲谷氏が亡くなったため)こと、タイトルにバブルへGO!にちなんだ特番である旨のテロップも出る一方で題字の下村哲也さんの名がなかったこと、「基礎力を確かめよう」がなかったこと以外は、全く以前の通り作ってくれました。オープニングとエンディングでで服部克久さんの「夕陽」が流れるのも同じです。伊武雅刀さんの教授ぶりは仲谷さんの落ち着きがなく、歴史学者の重みがない感じがしますが、まあまあでした(彼は映画のほうにも出てます)。

 今回は「携帯電話の歴史」。ルネサンス前から大航海時代にかけてのヨーロッパ史になぞらえていました。ちゃんと自動車電話の時代から取り上げてくれて好感が持てました(神戸町も、名古屋圏の大垣と同じエリアだったので、アンテナがあったんですよね)。でも、N帝々国(NTT)はN帝々ドコモ「と名を変えた」んじゃなくて、NTTから分離独立したんだよな・・・。CMに出てた人のネーミングが笑えるのは今回も同じです。

 この番組、例えばエンディングでいったん真っ暗になってロールテロップが流れること一つとっても、完全にNHKの教養番組のパクリなんですよね。

 一度2000年にも復活したそうですが、またやってくれないかなぁ・・・。

 他地域の遅れネットぶりはどうなんでしょうか。

フジテレビの公式ホームページ

 http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2007/070125canossa.html

2007年2月25日 (日)

NHKで通販番組?

 先日の「NHKと民放は切磋琢磨してる」という話にもつながりますが・・・

 この間、NHK教育の「5・6年 読み書きのツボ」を見てました。これ、光浦靖子さんとパペットマペットのお二人(?)、それにこのたび「のど自慢」司会に決まった徳田章アナウンサーが出てまして、今回は「広告のウソを見ぬけ!」というテーマだったのですが・・・

 番組の真ん中くらいで、なんと、通販番組ソックリの映像が出ていたんです。いえ、ソックリというよりも、あれで値段と電話番号さえ出てくれば、通販番組そのものでしたね、あれは。

 NHKで商業行為ができないのはもちろんですが、通販番組って目立たない時間帯にヒッソリとやるものというイメージがありますし、また、大きい局ほどやらない、というイメージもあります。そういう意味でも驚きでした。

 しかし、予算が少ないはずの教育テレビでいとも簡単にああいう映像が作れてしまうということは、通販番組の商品紹介部分の映像ってそんなにカネかけなくてもできる、ということなんでしょうね。きらびやかだから、もっとカネかかってるのかと思いましたが。

 放送はしばらく続くようで、NHKのホームページによると2月28日と3月2日も同じ内容とのことです。興味のある方はぜひ見てみてください。

 なお、「読み書きのツボ」には3・4年向けもあり(こちらが元祖です)、内容が全く違いますので、ごらんになる方は注意してください。

2007年2月24日 (土)

「中心角占いハイパー」?

 私は昨年1月、それまで14年間働いてきた会社を、いろいろ思うところがあって辞めました。当時37歳、転職するにはちと厳しい環境で、しかも今までの1年間、一時的に採用になったり採用になるかもしれないアルバイトもやったりしたので、余計に落ち着きませんでした。

 そんな中、「失業中に多少の収入になれば」という軽い気持ちで、とある学習塾のアルバイトを始めました。個別授業をやるところです。

 今まで学習塾というと、マスコミによく出てくる塾のように、子どもをカリスマ講師みたいな人がひたすら尻を叩く、というものだと思っていました。自分自身が通ったことがないので。行ったことのない人は、案外同様に思っておいでではないでしょうか。

 ところが、いざ行ってみると、そうした思いは崩壊してしまいました。そこの室長さんが自由にやらせてくれるからということもあったのですが、手法は講師に任されています。私はもともと「勉強って面白くない、というのはある意味偏見だ」と思ってましたし、中学の頃から「こういうふうに接すれば面白く説明できるのに」というようなことも思ってました。また、「どうせやるなら、解法パターンを覚えるより本人が思考するようになるのが先」とも思ってました。せっかく講師を務めるのなら、こういう条件をクリアしたいと思っていました。それらを、見事にクリアすることができるんですね。これは面白い! でも、ここって正社員は募集してなさそう・・・(実際、さりげなくリサーチしたら募集してませんでした。)

 そう思っている中で先月、個別指導の塾をたまたまハローワークで見つけ、応募したところ採用が決まりました。今行ってる塾と同じフランチャイズですが、別法人が経営しています。しかし、どこの塾でも人手不足気味で、今行ってる塾でも契約期間はまっとうしてほしいといわれましたので、今のところ、新天地で働き始めるのは来月下旬になりそうです。

 そういうわけで、採用が決まったにもかかわらずまだ新天地で働けない状態で、今まで行ってたほうの塾で「教えて」るのですが、23日に面白い小ネタがあったので報告します。

 この日に接した子どもの一人に中1の男の子がいます。金曜は数学と理科の日で、本来学年末テストを解説するはずが持参を忘れたので、学校の授業で少し触れたという「おうぎ形」をやりました。習う事項を確認していろいろ問題を解くのですが、中に「おうぎ形の半径と弧の長さが与えられている条件で、中心角を求める」問題がありました。半径を二倍したもの(直径)に円周率をかければ、円周の長さが求まりますから、それと弧の長さとを比べれば、中心角が求まりますね。

 こういう問題を視覚的に理解するために、私はおうぎ形とそのおうぎ形が属して?いる円の図(絵)を描くように子どもに勧めています。しかし、中心角の分からないままにおうぎ形を描きますから、実際のおうぎ形に合った形とは限りません。中にはショートケーキのように描いたのに実際はパックマン(古っ!)みたいになるケースもあります。次に面積を求める問題が控えてますので、絵を訂正したほうが無難なのですが、描いたおうぎ形と実際のおうぎ形が180度違うことが実際にありました。

 それを見て私は思わず「かわいそうに。運が悪いなぁ。自分が最初に描いた形と近いとラッキーやね」と言いました。笑った相手を見て、さらに私は「中心角占い、ハイパ~!」と言ってしまいました。これは一種の勝負です。相手が「めざましテレビ」の終わりがけを知らなければ、このギャグはウケません。

 それを聞いた相手は・・・「めざましテレビじゃないですか!」と返してきました。ラッキー! でも「あれって8時直前なんだよな」と雑談になってしまいました。いかんいかん。

 実は彼とは、以前にも反比例のグラフ(双曲線ですね)でグラフの端のほうが反って描かれてたのをきっかけに、「いかに反比例のグラフをうまく描くか、反比例グラフ選手権でもやるか?」と盛り上がったことがあります。「TVチャンピオン」でやれば、0.1ミリ単位で評価されるのは間違いなさそうですね。

 皆さんも、仕事や学校時代のネタってギャグにしてませんか? そのほうが楽しいですよね。

2007年2月20日 (火)

がんばれ、民放の教育番組

うみがめさんのブログ「うみがめのスローライフ」を拝見してて思い出しました。・・・いや、トラックバックするのは初めてです。直接の関係はない話題ですが。

 皆さんは「百万人の英語」という番組をご存知でしょうか。戦後から1990年代にかけて放送されていたラジオ番組で、日本英語教育協会が制作し自らスポンサーとなって放送されていた番組です。長く文化放送・ラジオたんぱと一部のAM局で放送されてましたが、各地に県域FM局が出来るようになってからはそうした局でも流れてました。

 曜日毎にどんな内容を流すかが決まっていたのですが、長らく英会話一辺倒でない番組づくりをしており、NHKの正・続「基礎英語」の後の会話以外の唯一の番組だったという点で特筆すべきものがあります。例えば私が聴き始めた頃の1986年でいうと、水曜日は読解、それもただ読むだけでなく国際的な諸問題について考える日でしたし、日曜日は隔週で英作文の授業もあったんです。よく語学は「読む・書く・聞く・話す」の4分野があるといわれますが、「実用=英会話」という呪縛から逃れた教育機関がいくつあるでしょうか?

 もちろん民放ですので、聴いてもらうための工夫も満載でした。例えば火曜日は発音練習の日ですが、例えば「get a」なら「ゲら」と読ませてしまうような独特の教え方(講師は「ゲラゲラ・メソッド」と呼んでました)をしたうえで、公開生放送の道場やぶり形式にしてたんですよ。また番組でパーティーをやってしまう曜日、映画の英語の日、ポップスで英語の日もありましたし、英語をダシに文化の違いをDJする番組もあったんですよ。英語をウリにしてた早見優の持ち時間もあり、「大学受験講座」でも有名だったJ.B.ハリスさんの日もありました。オープニング(ハイドンの「時計」)がちょっと古めかしかったですけど。

 民放って、少しでも多くの人に番組を見聞きしてもらうためのメソッドをいっぱい持っていると思うんですよ。ちょっと前までは、この「百万人の英語」のように、そういう手法を還元できる教育番組もあったのですが、今はそういう番組がなくなってしまいました。テレビの民教協の番組は、殆どドキュメンタリーしかない状態ですし。

 教育番組に限らず、民放とNHKって、「こんな分野でも面白く見られるのか!」「こんな演出手法があったのか!」って切磋琢磨できる同士でやってきたと思うのですが、最近教育番組というとNHKの独壇場となってしまい、残念です。「ピタゴラスイッチ」など斬新な番組がNHKからしか出ないのは、民放の創造力・想像力が落ちたということでは? 奮起を期待しています。

2007年2月19日 (月)

養老鉄道、再始動

 以前このブログでも書いたことのある近鉄養老線。2月14日、近鉄は廃止届を国土交通省に届け出ました(中部運輸局経由)。

 とはいえ、これは予め地元で、運営を新会社へ移行させ、保有や管理は引き続き近鉄で行う、と決められていたが故の措置。同時に近鉄は、近鉄100%出資の「養老鉄道」という運営会社を設立させています。しかし、提出がこんなに早いとは。

 名前が「養老鉄道」とは、創業当時の名前に戻るということですね。もっとも愛称がこれから募集されるようですが。

 運営は新会社に移行しますが、運賃が値上げされること以外は現状と変わらなさそうです。養老線に関わる社員は新会社への出向等でそのまま残るそうです。保線の費用が圧縮されることと運賃値上げで収入微増が予想されることから、赤字は圧縮できそうですが、新聞も報じている通り、抜本的な改善策にはなっていないと私は思います。

 養老線は大垣以南では国道258号線と似たようなコースを取っていますが、途中で高田や養老に寄っており、スピードもそんなに速くない養老線は、普通に車で258号線を走るより時間がかかるのが現状です。であれば、まずスピードアップが必要です。同じことは大垣以北にもいえます。自治体はそこまで踏み込まないと、長期的には無駄なカネをつぎ込むことになります。別会社になった以上、自治体負担でルート変更や駅新設も真剣に検討すべきです。特に養老~駒野では、客のいない山腹を走っており、山麓の住民という客を逃しています。

 また、ワンマン化した一方で大垣駅では車内で運賃収受を行わないため、無人駅で乗車し大垣で降りる客(乗客の大半)は大垣駅の精算機と窓口で長蛇の列を作っています(もちろん無人駅も合理化で増えてます)。こんなことでは明らかにサービスダウンです。早急に改善策を示さねばなりません。

 この大垣でJR等に乗り換える場合にも、もっとスムーズにできる方法があるのではないでしょうか。せっかくTOICA対応改札機が乗り換え改札口にあっても宝の持ち腐れです。おそらくそのままJRに乗り入れても、そこそこ乗客は見込めるでしょう。

 あと、石津以南、せめて多度以南は3線レールにすべきではないでしょうか。桑名方面への流動が大きい以上、名古屋や津方面への連絡も考えるべきだと思うからです。幸い養老線の車両はすべて他線からの移籍組で、名古屋線の車両限界は楽々クリアできるはずです。桑名口では、従来の近鉄線との乗り継ぎでの割引も考えるべきです。

 接続する交通とのリンクもむろん考えねばなりません。養老鉄道の魅力が増しても、駅からと駅までが不便ではどうにもなりません。揖斐川町と海津市にしかないコミュニティバスを増やしたり、既存バスを路線図で案内したりすると同時に、養老鉄道のどこで降りれば目的地(むろん観光地だけでなく集落等も)に行けるかが分かるような仕組みが要ります。タクシーのいる駅の表示も必要でしょう。ふだん使わない人でも使い勝手がよくないといけないのです。

 将来的には、樽見鉄道や、関の会社が復活を画策している旧名鉄揖斐線との合併も視野に入れないといけません。また、せっかく近鉄から分離されるのですから、海津市民や養老町民のために、駒野から津島までの高速新線も、地元中心に自治体の支援を得て積極的に進めていくべきだと思います。名鉄名古屋から美濃高田くらいまで直行が走ると地元も潤うことでしょう。

 沿線自治体と岐阜県が、公共交通支援のアリバイ作りを主眼として、赤字を補填して終わり、では養老線はよみがえりません。ところがそのための声は、各自治体がバラバラでアリバイ的に受け付けるだけ、しかも現在の住民しか念頭に置いていません。これは多目的のNPOにもいえます。NPOの場合はアイデアしか出さない者を嫌う傾向すらあります。新会社を含め、積極的に声を受け止める永続的な窓口は今後出来るのでしょうか。ぜひ作るべきだと私は思っています。

2007年2月18日 (日)

スタイルプラス!

 各都道府県にはたいてい、その都道府県民の歌というのが存在します。でも、歌える人となると、長野県以外では少ないのではないでしょうか。その長野県にしても、元は信濃という一つの国だったにもかかわらず、実態は地域毎のバラバラな存在であるがために、一体感を出すために使われる歌、という側面のほうが大きいことでしょう。

 東海テレビで昨年始まった、日曜昼の情報番組「スタイルプラス!」。17日放送では「岐阜県民の歌」が紹介されてました。(「岐阜県民の歌」はこちら。http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11103/kenminnouta/kenminnouta.htm

 番組では、(1番の)「岐阜は○の国、××の国」の○や××に入る歌詞は何か、と街頭インタビューで質問してました。正解は「木の国、山の国」なのですが、出演者の一人が解答の感想として、「岐阜なんだから、信長とかいろいろ織り込んであるかと思った」と言ってました。

 この歌では、2番の同じ部分が「岐阜は野の国、幸の国」、3番は「岐阜は詩の国、水の国」となっています。そうなると、1番だけ信長だの何だのと歌詞を入れると、全体として歌が成り立たなくなってしまうんですね。ですが、誰もツッコミを入れてませんでした。番組の終わり際じゃないんですから、取材したスタッフくらいツッコミを入れればいいのに、それもないままでした。

 そういえばこの番組でも、ゲストやVTR出演した芸能人に「名古屋の」印象を語らせてますし、「名古屋の」スポットを紹介してます。名古屋以外も取り上げられないことはないですが、あくまで名古屋からみてという名古屋目線を崩してません。要は出演者もスタッフも、名古屋のことしか念頭に置いてないんですね。

 東海地方の番組なんてこんなもんです。ローカル制作というと、東京一極集中の中でやたら賞賛ばかりされますが、実際のところ、一極集中には変わりないのです。それで出演者もスタッフもそれ以外の局の人間も、下手をすると名古屋以外を含めた多くの視聴者までもが、「そんなもん」と開き直っています。進んで人の上に人を作ろうとするこういう心理構造、何とかならないもんでしょうか。

2007年2月 9日 (金)

珍事件! 山形テレビ、山形新聞におわび

 asahi.comによりますと、山形県の山形テレビ(YTS)は、7日夕のニュース番組で脳脊髄液減少症のニュースを報じた際、約1年前に山形新聞に掲載されたイラストと酷似したCGを作成、放送で無断使用したとして、8日に山形新聞に謝罪したとのことです。

 山形テレビのやったことは問題ですから、このニュースの内容は至極真っ当なものですが、私たちのような「放送事情好き」(とはいえ、私の場合は地方局のあり方の考察といった度合いも大きいので、単なる趣味とはいえませんが)にとっては、この局の創立以来の歴史を考えると「アレレ?」と思えてしまいます。

 日本では、テレビが始まって15年ほどの間、大都市圏以外では民放テレビは1局しかありませんでした。当時は1-12チャンネルしかありませんでしたから、隣接エリアや中継局のことを考えれば、チャンネルが足りなかったのです。1964(昭和39)年までに東京では民放テレビ5局ができましたが、地方には1局しかありませんから、キー局各局はスポンサーをひっさげて、自局の番組を1つでも多くの局に同時ネットしてもらおうとしてました。地方局も、今のように特定のキー局とべったりということもなく、だいたい1時間単位で番組供給元を変えていました。ABC社員だった岡村黎明さん(現・大東文化大学教授)は著書『テレビは変わる』(岩波ジュニア新書)の中でこの現象を「娘一人に婿四人」と評したものです。

 しかし、やがてVHFの電波に加えて新たにUHFも放送に使うことになり、地方でも2局目(以降)が続々と開局しました。多くの地方局ではそれまで同様、キー局がスポンサーつき番組を供給してくれる限り経営は安泰ですし、キー局やその背後にいる新聞社も自社系列の局を増やしたかった時期ですから、地方有力者(県知事や国会議員など)と全国新聞が競って新しく割り当てられたチャンネルの社を作ろうと、いくつものダミー会社を仕立てて郵政省に届け出ました。どういうことかというと、出願が出揃った時点で有力者が、届出のあった会社をすべて合併させる(一本化)ように調整するのが常なので、合併後の会社の資本(=株主の発言力)が大きいほうがトクなんです。ただし、ある地域にいくつ放送局があっても、株主が同じだったりすると、戦前のように多様な声が反映されなくなるという懸念があるので、既存局の主要株主には他の局の主要株主にはなれないように配慮されています(マスメディア集中排除原則)。

 山形県でもこうして、先発の山形放送(YBC、キー局日本テレビ)に加え、山形テレビ(YTS)が誕生します。YBCは山形新聞とグループを形成していたので、山形テレビは山形県庄内地方の有力者と朝日新聞・毎日新聞のグループが主要株主になりました。その関係で、キー局をNET(現・テレビ朝日)にする方針でした。

 ところがです。山形県のドンといわれ、県政にも多大な影響を及ぼした、山新・山交(山形交通)グループ社長・会長を歴任した服部敬雄という人物がいました。彼は巧みに山形テレビに近づき、ついに開局前にも関わらず初代社長のクビを切ってまで、服部氏とフジサンケイグループの鹿内氏との個人的な仲により、一夜にしてフジテレビの系列にしたのです。山形テレビは結局、1970(昭和45)年の開局から23年間フジ系となり、また山形新聞の影響も強く受けるようになります。一度山形新聞系のイベント取材にYTSが遅れて取材できなかったとき、仕方なくYBCからテープを借りて(!)放送したものの、服部氏にバレて厳しく処分されたというエピソードまであります。

 3局目・テレビユー山形(TUY)やFM山形が開局する1989年まで、NHK以外の地上波全部と地元有力新聞がまさに山形新聞によって牛耳られたわけです(TUYは開局後だいぶ経ってから、山形新聞の影響下に置かれます)。70年代終わり頃から、YTSの毎日新聞系株主が朝日新聞系に株を譲渡したこともありましたが、時を同じくしてYTSの朝日系の番組がYBCにどんどん移っていきました。これは朝日新聞グループの発言力をYBCとYTSとに分散させることで、服部氏と山形新聞の影響力を弱めないようにしたとみられています。おかげで何と、YBCでその分はじき出された日本テレビ系の一部番組がYTSでネットされるという奇妙な現象が、10年以上も続きました。

 やがてバブル時代を迎えます。かねてから「地方局は衛星の上がる将来、炭焼き小屋になりかねない」といわれていたことで、YTSはバイオ事業とハリウッド映画制作事業に乗り出し、放送以外の収入を得られるよう試みました、放送局は当時右肩上がりの最たる産業でしたから経営計画が甘く、十数億円の巨額な損失を出しました。まもなくバブルも崩壊します。

 この頃の1991年、服部氏が死去しました。するとYTSの株主たちは、「経営再建のため、朝日系に乗り換えよう」と言い出しました。YTSの社長交代もあって、結局この株主の言い分が通り、1992年秋、YTSは自社でフジ系離脱を決定し、1993(平成5)年4月1日から朝日系として始動したのです。

 昨年現在のYTSの第3位までの株主をみると、山形新聞社は入っていません。もしかすると朝日系移行と同時に、YTSは山形新聞の影響を大幅に減らしたか断ったのかもしれませんね。

 今回のニュースを見て、かつてのYTSであれば、山形新聞にとってYTSなんて身内同然だったでしょうから、抗議というほど大問題になったかなあ、と思ったのです。コレが言いたくて長々と書いてきたんです。ふぅ。

 ・・・しかし言論封殺が密かに行われているとなると、ホント怖いものがありますね。

参考文献(文中で紹介したものを除く)

『2000年のテレビジョン』(角川書店、1993)

『テレビ業界の舞台裏』(小田切誠著、三一書房の三一新書、1994)

http://www.mizuhocbk.co.jp/fin_info/industry/sangyou/pdf/1002_105.pdf (PDFファイルです)

2007年2月 4日 (日)

納豆を食べないのは関西じゃない

 先日テレビ愛知で、

「兵庫県(三木市)に納豆工場が出来た。納豆を食べない関西で」

という趣旨の報道がありました。全国ニュースでなくローカルニュースのパートでそう報じられたということは、地元資本だからでしょう。

 これはおかしいですね。京都に住んでたとき、納豆は普通に出てきましたよ。

 実は、納豆を食べないのは「関西」でなく「大阪」なんですよ。大阪市。最近は大阪市でも納豆を食べる人が増えてきてきたものの多くはない、ということは確かなようです。だったら、関西という枠で報じなければいいのに・・・。

 特に関西の外にいる人は、関西を一緒くたにしがちです。特に、岐阜県や三重が属国のようになってる愛知からすると、京都・大阪・神戸の3都市がそれぞれ個性的だという当たり前の事実を見落としがちで、安易に大阪の常識を関西じゅうに当てはめようとする傾向があります。

 気をつけましょう。

2007年2月 3日 (土)

ああ、揖斐線

 今回触れる揖斐線というのは、近鉄養老線の大垣より北のことを指す、地元の愛称です。廃止された名鉄揖斐線のことではありません。

 近鉄というと、正式名称の近畿日本鉄道という名からしても、近畿地方の鉄道というイメージが強いことでしょう。バファローズも末期には「大阪近鉄」と名乗ってましたしね。しかし、旅慣れた人や東海地方の人、それに鉄道ファンであれば、東海地方でも走っていることをご存知でしょう。とはいえ、養老線が岐阜県にもかかっていることを、ある専門家ですら一般向けの著書で「『ここも近鉄?』と思われそう」と言っていました。(実は岐阜県の岐阜地域の人でも知らない人は意外に多い。)

 地元出身者として言わせてもらえば、とんでもありません。小さい頃からずっと地元にあるのは、まぎれもない近鉄なのですから。

 それでは、なぜここが近鉄なのでしょう。実は、もともと養老線は大正時代に、養老鉄道という独立した会社からスタートしたのです。それが、地元の電力会社(現在は電力会社ではなくなっていますがイビデンです)と合併したり離れたりした後、後に桑名で接した関西急行鉄道と合併したのが縁の始まりでした。独立したり復縁したりした挙げ句、関急ごと近畿の他の有力会社と一緒になって1944年に発足したのが近鉄。近鉄は戦時統合で出来た会社なのです。近鉄というと戦前から伊勢志摩への観光や都市間輸送が盛んなので、養老線は次第にローカル線の立場に追いやられてゆき、特に1959年の名古屋線の改軌(2本のレール間の幅を変えること)以降は、伊勢方面へも名古屋方面へも、名古屋線との直通運転ができなくなりました。

 最近、廃止がいわれるようになりました。20年くらい前は揖斐線を中心に、朝夕の通勤・通学輸送では廃止など考えられなかったのに。原因は、少子化で通学輸送が減ったこと、近鉄自体の不調、それに連結決算実施に象徴されるような株主重視の風潮にあります。

 ただ、他のローカル線にもいえることですが、確かに養老線はひどいのが現状です。大垣から広神戸まで7.2キロを走るのに、13分もかかります。ドアツードアで揖斐線のように迂回しない自動車だったら、神戸町から大垣市街の目的地まで行ける時間でしょう。それに揖斐線沿線には揖斐川町以外コミュニティバスもなく、電車に乗る前と降りた後が困ってしまいます。こういう状況で養老線を残そうといっても簡単にはいきません。

 私は、ローカル線こそ高速化を!と思えてなりません。いま経営の苦しいローカル線の大半は、第3セクターを除けばモータリゼーションが来る前に開業したもので、モータリゼーションが来てから最近までは「一企業に公共のカネが使われるのはおかしい」と放ったらかしにされてきたのです。交通弱者の交通手段や環境といった面で注目されてきたのはつい最近のことです。高速化すれば、便利さで車を使ってる人は鉄道にシフトしないものの、時間面で車を使ってる人なら鉄道を使ってくれるかもしれません。もちろん、「我田引鉄」だった地域のように、どんなに努力しても経営できない線もあるでしょうが、存続できるのならば手を打つべきなのです。

 養老線は最低限、地元が高速化に投資し、なおかつコミュニティバスが整備されるべきです。同じ手は、お隣の樽見鉄道にも使われるべきです。モレラ岐阜駅の設置が大ヒットだったように、美江寺や北方真桑からリバーサイドモールへバスを走らせればヒットする可能性もあります。いま美濃町線の復活を計画中の関市の会社は旧名鉄揖斐線も復活対象に挙げていますが、ここと合わせて経営会社を一体化し、北方真桑に旧名鉄との連絡駅を作れば、養老線沿線から岐阜市へ安く行けますし、現現樽見鉄道の沿線住民の利便性も向上するでしょう。JRの美濃赤坂線や西濃鉄道(戦前は旅客営業していた)も合流できるかもしれません。

 余力があれば、駒野駅から名鉄津島駅へ延伸したり関から江南へ延伸したりして名古屋へ直通できればいいですね。建設費をどうするかはともかく、実現すればドル箱になるに相違ありません。

 医療において、治るはずの病気を放っておいたら非難が殺到するでしょう。鉄道でも、再生できるのにその努力をしないのであれば、怠慢以外の何者でもありません。マイカーばかり使っている人も、自治体や政府の公共交通への投資を惜しんではならないと思います。むろん、そのために経営計画はきちんと作られねばならないのはいうまでもありません。

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